ICT教育

学びの基盤となる力「情報活用能力」を育む


『教育ジャーナル 2020年度 Vol.5』より
東北大学大学院情報科学研究科教授 堀田龍也

全国の学校・先生方にお届けしている情報誌(無料)学研『教育ジャーナル』では、毎号、本誌からイチオシ記事をピックアップしてWEB版として公開しています。

今回は、新学習指導要領において「学びの基盤となる力」と位置づけられ、GIGAスクール構想により整備されたICT環境を有効に活用するためにも重要な情報活用能力の育成について、東北大学の堀田龍也教授に伺った記事を公開いたします。(インタビュー、構成/ライター 長井寛、2020.12.)

GIGAスクールで変わる学び

児童生徒一人1台のPCや高速ネットワーク、クラウドといったGIGAスクールの整備が急ピッチで進んでいます。GIGAスクールでのICT活用は、今までのICT活用と大きく異なります。
子供たちは、ICTを様々な教科で日常的に使うようになります。すると、学び方も変わります。クラウドを用いて子供同士で情報を共有し、協働的に学ぶことができますし、デジタル教科書や様々な教材を必要に応じて児童生徒自身が選択して使うこともできるようになります。
そうした環境においては、課題に向けての取組方を先生が指示するのではなく、自分で課題を見つけて、ICTを使って主体的に課題解決に取り組むようになります。そして、我々大人が仕事や生活を便利にする道具としてICTを使いこなしているのと同じように、子供たちにもICTを学習の道具として使いこなす力を育むことが期待されています。

情報活用能力の育成が不可欠

せっかくGIGAスクールの環境を整備しても、ICTを操作するスキルや、情報を収集、整理、発信するなど情報を活用していく力、すなわち「情報活用能力」を子供たちが持っていなければ、ICTを学習の道具としてうまく使うことができません。そうなると、教科や単元のねらいに迫ることができず、新学習指導要領が求める資質・能力を育成することができなくなってしまいます。
さらに、子供たちの将来にも影響を及ぼします。今後、デジタルトランスフォーメーション(デジタル技術による変革)が進み、society5.0 と呼ばれる新たな社会が到来するといわれています。そうした社会においては、未知の事態に対して、たくさんの人々と協力しなが・・・

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